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小越 建典

切り口が勝負 その2

先週のてらすラボでは、 メルマガやブログ、企画書や提案書にも役立つ「切り口」のお話をしました。

今週は、お伝えできなかった3つのアプローチをご紹介します。

 

⑤逆張りする

逆張り

例)

・やる気1%ごはん テキトーでも美味しくつくれる悶絶レシピ

・幸楽苑:2億円事件


逆張りとは、一般的な意見や、世の中の流行とはあえて逆の立場を取ること。違和感とともにインパクトのあるコンテンツができる切り口です。

たとえば、昨年ヒットしたレシピ本「やる気1%ごはん」も逆張りです。特徴は分量はざっくりで、細かい手順や長文のレシピなし。「電子レンジで2分間温める」→「2分間チン」など、読まずに済む構成は、レシピ本の常識を変えました。

また、幸楽苑は2018年12月31日の広告に、「2億円事件」と大きな見出しを出し、正月の全店休業を新聞広告で告知しました(休業中の売上2億円を失う、という意味)。お正月の働き方改革を訴えた同社の姿勢は、大いに話題となりました。

今では、お正月にきちんと休む企業が「従業員に優しい」と見られる向きもありますが、かつてはどうだったでしょうか? どちらかと言えば、お正月にもお客様のために働いてくれる会社がいい会社だと、思われていなかったでしょうか?

「2億円事件」は、世の中の流れを変えるきっかけをつくるほど、強力なメッセージであり、逆張りにはその力があるのです。

 

⑥視点をズラす

視点をズラす

例)

・4コマで日本史:日本をみなおす50の視点

・大ピンチずかん

・ざんねんないきもの事典


まったく新しい視点を発明するのは難しい。ならば、既存の物事に軸足を置いて、少しだけ視点をズラしてはどうでしょう?

拙著「4コマで日本史」は、歴史の教科書の常識だった「ヨコ割り」をズラした書籍。教科書は時代ごとにさまざまなジャンルが混在して語られています。一方で同書は、法律や宗教、天皇の位置づけ、イノベーションといったテーマ別に日本史を「タテ割り」したのです。

書いてある内容は教科書と変わりませんが、それだけで日本史に対して新しい見方ができるはずです。

「大ピンチずかん」も「ピンチ」という視点で生活のさまざまなシーンを切り取りました。「ざんねんないきもの事典」は、動物たちの一般に知られていない「ちょっと残念」な一面を伝えています。

いずれも、新しいことは書いておらず、それでも新しさがあります。人は、知らないものは受け入れられません。「ありそうでなかった」「知っていそうで知らなかった」がミソです。

 

⑦飛躍する

飛躍する

例)

・前田建設ファンタジー営業部「機動戦士ガンダムの巨大基地をつくる」など

・もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら


物事のシーンを大きく転換して、際立たせるという手法。キャッチーな設定にしやすく、読むのもつくるのも楽しい、という利点があります。「戦国時代にITがあったら?」「現代に諸葛孔明が現れたら?」など、タイムリープモノはよく見かけます。

ただ、とっぴなだけでは本質が伝わりません。その点、前田建設ファンタジーはとてもよくできています。「機動戦士ガンダム」や「マジンガーZ」、「銀河鉄道999」など、アニメやゲームの基地やロボットを、建築会社が真剣に設計して見積もったらどうなるか、というシミュレーション。書籍化や舞台、映画にもなりました。

通称「もしドラ」もそうです。何十年も前のビジネス書が、高校野球という身近な舞台に置き換わって、わかりやすく伝えられています。記憶に残る萌え系のイラストも良いですね。


 

株式会社シーティーイーは、企業がつくる雑誌「コーポレートマガジン」を推進します。

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