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  • 小越 建典

「ほぼ全員が辞める」女性の働き方を変える話 後編

新規事業スタート!

 

まずは通常業務と並行して、 一人だけのプロジェクトがはじまった。

 

「『働くママ』としての 経験が役に立った」

このときを安藤はそう振り返る。

 

最初の商品は、 妊娠中にバッグにつけていた 「マタニティマーク」のチャームだ。

 

安藤自身、妊娠すると自治体からもらえるマタニティーマークを手にしたときは

「ママになったんだ!」

 

と喜びが爆発した。

 

マタニティ

ただ、シンプルなステッカーやキーホルダーが一般的で、少々物足りない…。

 

記念にもなる貴重なアイテムを、ネイリストがデザインし、 手づくりすれば、もっとテンションが上がる!

それは、赤ちゃんを抱え大変な思いで、前代未聞のコロナ禍を暮らす妊婦たちの応援になるはずだ。

 

確信を持った安藤は、レジン(樹脂)、自作の押し花など、 素材にこだわって試作を重ねた。

 

仕上がりに納得したところでネット販売を開始すると、

 

「すごく欲しい」「かわいすぎる」 「妊娠していないけど着けたい!」

 

予想を越える反響で、みるみる売れていくではないか!

 

急ピッチで会社の協力も得て、 サロンで手の空いたネイリストによる 量産体制も整えた。

 

2021年春。

 

世の中は2回目の緊急事態宣言で、相変わらずの閉塞感だったが、安藤の胸は希望でふくらんでいた。

 

突然の決断、そして…

 

それから1年、ネイリストのハンドメイド事業は順調に進んでいた。

プレゼント向けや、 企業のノベルティなど 用途開発も進み、

これからだ!というとき…

 

安藤が経営者から告げられたのは、

 

「事業クローズ」

 

という驚きの決断だった。

 

社会の状況が変わり、 リソースをより収益率の高い 事業に集中するためだという。

 

「何が足りなかったのか…」

安藤にも経営判断は理解できたが、気持ちが追いつかない。

 

赤字ではないし、求めてくれる顧客もいる。

 

「もう少しやらせてほしい」

安藤は出しかけた言葉を飲み込んだ。

 


 

 

「もうこんな時間かぁ」

 

家族が寝静まった午前1時過ぎ。

 

安藤は自宅近くの作業スペースで、 バキバキに固まった身体をほぐす。

 

何百個つくっても時間を忘れるほど没頭できる―― そんな仕事に巡り会えたのは幸運だ。

 

実は今、安藤は以前にも増して精力的に、 ネイリストのハンドメイド事業に取り組んでいる。

 

いちどは事業クローズを決断した経営者が 「ここで終わらせるのはもったいない」と 新会社としての事業継続を申し出てくれたのだ。

 

環境は不安定になるが、安藤は即座に挑戦を決断した。

2人のママネイリストともに新会社で、再スタートを切ったのだ。

 

「ネイリストの新しい働き方」のビジョンは変わらず、制作と商品開発、そして一層の販売促進に力を入れている。

 

それにしても、、、

 

こんなに大きく人生が転換するとは、4年前には想像もしていなかった。

 

元々、先を見据えて計画を立てるタイプではなくネイリスト以外の仕事、しかも新しい事業をリードするなんて!

 

ただひとつ、好きなことには 人一倍の情熱で取り組み、 考えるよりも先に動き続けてきた自負がある。

行動が自分を変え、周囲の仲間を変え、より大きな何かを、少しずつ動かす。

 

安藤トモコの冒険は、これからが本番だ。

 

 

株式会社シーティーイーは、企業がつくる雑誌「コーポレートマガジン」を推進します。

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