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DTP制作を加速させる「新・校正スタンダード」第1回:導入・リスク管理編

  • 西原 雄太
  • 5月27日
  • 読了時間: 5分

更新日:6月4日

「修正したはずが直っていない…」の正体を探る。DTP現場で最も怖い『先祖返り』と『見落とし』対策

DTP制作を加速させる「新・校正スタンダード」

求められる「正確さ」と「スピード」


情報が価値を生む時代に、いかなる業務にも求められるのは正確さとスピードです。とりわけ文書や画像を扱うDTPの現場では、この「正確さ」と「スピード」は信頼と売上に響く最重要のタスクです。

 

DTP制作の現場では、日々いろんなことが起こります。その1つに「先祖返り」という現象があります。


「先祖返り」とは、修正したはずのデータやファイルが何らかの理由で修正前の状態に戻ってしまうことです。


例えば、初校に指摘された赤字の語句を修正して再校を作成し、それを校正する。正しく修正されていることを確認して三校(あるいは最終校)に進み、それをあらためて校正すると、どういうわけか修正前の状態になっていた。


はたまた、初校で画像のトリミングの指示があり、それを修正して再校を作成した。校正で指示どおり修正されていることを確認し、三校(最終校)に進んだが、それを確認したところ、画像がトリミング以前の状態に戻っていた。

検版・校正担当者にとって、こんな事態は冷や汗もので、悪夢以外の何ものでもありません。

 


「先祖返り」の原因と対策


ではなぜ、「先祖返り」が起こるのでしょうか。主な原因として以下のことが考えられます。


  1. 最新のデータではなく、以前のデータを使っていた。

  2. 共有ファイルを複数人が使うことで、修正が反映されなかったり、あるいは修正されたファイルを後の作業者が上書きしてしまったりして、修正前のファイルを最新のものとして使っていた。

 

1.の事態は、どのデータが最新のものか分からないために起こります。

2.の事態は、修正作業者と校正者の確認ミスや、赤字を入れる人と赤字を修正する人と校正をする人の間で意思疎通と連携が不十分なために起こります。


また、作業の工程上、1つの案件を担当者が校了まで担うことができず、複数の人間が対応しなければならない場合も、最新のファイルの取り違えによりこうしたミスが起こり得ます。

 

「先祖返り」を予防するための対策方法は、以下のとおりです。

  • 最新のデータ、ファイルが分かるように、ファイル名に更新(修正)日時を記す。

  • 各修正段階のファイルのバックアップをとっておく。

  • 共有ファイルを複数人で使う場合、関わる人の間でルールを決めておく。

 

「先祖返り」を予防するには、1つの案件について初校の作成から校了まで、特定の担当者がそれぞれの作業を担うことが理想ですが、そのために時間がかかるケースもあるでしょうから、作業者間でルールを定め、それを厳守していくことが肝要となります。

 

見落としやすい事例

「先祖返り」という現象以外にも、見落としやすい事例があります。

このところ校正界隈で話題になっているのが「もろちん事象」です。

本来「もちろん」が正しいところ、誤りに気づかず「もろちん」のまま印刷されてしまった、あるいは校了直前に気づいた、といったケースです。思わず吹き出してしまう「笑えない」事例です。

このほか、以下のような見逃しやすい事例があります。

 誤:シュミレーション → 正:シミュレーション

 誤:エシキビジョン → 正:エキシビション

 誤:コミニュケーション → 正:コミュニケーション


さらに、日本語の特徴から以下のような同音異義語も間違いを見落としやすいといえます。

配布/配付、解答/回答、適正/適性、鑑賞/観賞、用件/要件、対照/対称、同志/同士、追求/追及/追究、保証/保障/補償、など

 

これらは長年のキャリアのある校正者でも見落としやすい事例です。

こうしたケースに出会うと、つくづく日本語は難しいと感じます。


 

基本的な校正方法とミスを防ぐ検査ツール


制作物の間違いを正したり、赤字指示どおり修正されているか確認する校正作業には、一般に以下のような方法があります。

 

  • 素読み:原稿を黙読して誤字脱字やおかしな箇所見つけて指摘すること。

  • 読み合わせ:2人1組になり、1人が原稿を読み上げ、もう1人が原稿を確認すること。

  • 突き合わせ:原稿と制作物、あるいは前の校正紙と最新の校正紙を見比べて確認すること。

  • あおり:修正前後の原稿、あるいは校正紙を重ねて、手前の紙をめくったり戻したりして見比べ、正しく修正されているか確認すること。

 

これらの方法は、会社の方針や制作物の状態、作業工程などにより、使い分けたり組み合わせたりして行います。


弊社では主に「突き合わせ」や「あおり」の方法で校正・検版を行っていますが、人間がやることですから目視による確認には限界があります。


そこで弊社は、長年の経験により培われたノウハウに基づき、PDF比較検版ツール「BeforeAfterCV」を開発し、提供しています。

このツールは、PDF・画像・スキャンデータ等の修正前後を比較し、その差分を自動検出して「見える化」することにより、校正・検版における「先祖返り」や「見落とし」を防ぐ仕組みです。

「BeforeAfterCV」のメリットは以下のとおりです。


  • 自動比較による差分の「見える化」で従来の作業時間を大幅に削減できます。

  • 「先祖返り」や「見落とし」などのミスを防ぐことで、ミスによるコストを減らしたり無くしたりすることができます。

  • 経験や能力重視による属人化した検査作業から解放され、誰でも簡単に使えます。

  • 制作物の品質向上により、顧客満足度と信頼性を高めることができます。

 

実際、弊社の校正・検版の現場では、「突き合わせ」や「あおり」などとともにこのツールを使い、検査作業にあたっています。


校正・検版は、品質管理に関わる重要な仕事です。制作物をつくるワークフローにこのようなツールを組み込むことができれば、生産性向上にも寄与することでしょう。



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