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  • 藤田 陽司

💡熱い半導体の話

コロナ禍以降、経営者団体「東京ニュービジネス協議会(NBC)」にて「ブックサロン」という読書会を主宰しています。経営者団体といえば派手なパーティーやゴルフなど連想されるかもしれません。もちろんそのような活動も醍醐味ではありますが、読書会のような地味な勉強会もやっているところがNBCの良いところです。最近ではNBC、会員数をコロナ前の3~4倍に爆増させており、多様な活動内容による経営者同士の交流と実務・業績の向上が本当に実現できており、そのような部分も魅力なのかもしれません。興味がある方は藤田までご連絡ください。

 

話が逸れました。

 

今NBCブックサロンで読み進めている「再興THE KAISHA」という書籍、日本社会・経済の閉塞感を打開する策をドイツ生まれアメリカ在住の女性経営学者が熱くロジカルに語るといった、非常にオリジナリティにあふれる内容です。

 

この「再興THE KAISHA」、人によって感想が様々なのも面白い。「データが古くないか?」とか「無理やり日本のことを良く書こうとしてないか?」といった否定的な意見から、「『ジャパン・インサイド』の実際がわかってとても良い」「『失われた20年』を暗く考えても仕方ない。日本のモノづくりがまだまだ独自性を持っていることを知ることができて良かった」といった前向きな感想まで、とても幅広い議論ができています。

 

私もどちらかというと前向きな感想を持っている一人です。「再興THE KAISHA」をプロジェクトXを見ているように熱い物語として読んでいます。

 

特に半導体の世界において、日本がハイテク部材の大部分を製造し輸出しているといいます。半導体製造に欠かせない化学薬剤である「フォトレジスト」に至っては市場の9割を占めているとも。

 

半導体についてはこれまでほとんど興味がなく、「ほうほう、半導体の世界は景気がよいのだな」ぐらいにしか考えてなかったのですが、この本を読み、ブックサロンメンバーで半導体に詳しい方の話を聞かせていただき、その歴史を知りたくなりました。

 

半導体の製造工程

このサイト、結構わかりやすいですね。(さすが京セラ)

 

この中でも今回は半導体の歴史、特に日本人の関わりを紹介したいと思います。

 

半導体のルーツは1821年に熱電変換効果が発見されたことに端を発します。そこからずいずいと近代へと進み、戦後、日本の学者たちが「トランジスタ勉強会」をスタートさせたところから10年後には各社からトランジスタの製品が日本で生まれました。1957年に江崎玲於奈博士により発明された「江崎ダイオード」により半導体内のトンネル効果を発見し、江崎氏は1973年にノーベル物理学賞を受賞しています。こうした努力が実り、1990年の段階で、世界の半導体メーカーの売上上位10社のうち6社は日本企業、という素晴らしい成果を生みます。ところが、そういった日米貿易摩擦を解消するために、日米半導体協定が締結され、一時は70%のシェアを誇っていた日本も急速に国際競争力を失ってしまいました。

 

1986年の半導体世界ランキングは1位NEC、2位日立、3位東芝、4位モトローラ、5位テキサスインスツルメンツ、6位フィリップス、7位富士通、8位松下、9位三菱電機、10位インテルとなっています。(ちなみに1971年では、1位テキサスインスツルメンツ、2位モトローラ)

 

現在は、1位インテル、2位サムスン、3位NVIDIA、テキサスインスツルメンツは8位です。日本は一社もないじゃないか…と思いがちですが、先ほどご紹介した通り、部材のシェアはある一定の割合を占めています。インテルインサイドの中に、ジャパンインサイドということなのです。


半導体世界ランキング

ある意味、肉を切らせて骨を断つという作戦とも言えます。

 

「戦後日本を立派な国にする」というジャパン・パーパス。先人の築いてきた礎を基に、しっかりと次世代へパーパスのバトンを渡してくれていると言えると、私は考えます。



 

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