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小越 建典

タブーに挑む 後編

ビジネスの転換、そしてチャンス


小池が強い思いでスタートさせた食品原料のセカンダリーマーケットは、 スタートで大きくつまずいた。


「余った食品の情報が出てこない」「デジタル化が著しく遅れている」 という業界特有の事情が立ちはだかった形だ。


2020年以降の小池は、

「食品原料のロスをなくすマーケットプレイス」 

「食品業界をデジタル化するプラットフォーム」

という両輪で事業を展開していくことになる。


まずは食品開発者が抱える 現実的な課題を解決する。


食品原料検索サービス「シェアシマ」は余った食品を流通させるセカンダリーマーケットではなく、 食品開発者が日々の業務に必要な原料と出会える情報データベースにリニューアル。


タブーへの調整

さらに「シェアシマinfo」としてオウンドメディアを立ち上げ、食品開発に役立つ情報提供を進めている。

業界関係者の会員が4000人、純度の高い専門メディアに育った。

他にもセミナーや食品のOEM開発など、 打てる手はすべて打ってきた。

いずれも人は集まり、ニーズの大きさも確信しているが、オンラインで安定して稼げるビジネスモデルにはどうしても至らない。

開発や人材にコストがかさみ、資金は出ていくばかり。

心が折れかけたことは、一度や二度ではない。

それでも、食品ロス問題の解決は、石にかじりついても成し遂げたい。


そんな小池の前に、またとないチャンスが訪れた。

先輩経営者が声をかけてくれ、 全国的なスタートアップピッチコンテストに出場することになったのだ。



新たなる挑戦へ


ライバルは、既に数億の資金調達を果たした猛者たちばかり。

審査員には、名の知れた上場企業の経営者がずらりと並ぶ。

希望と落胆、熱気と冷静さが入り混じる会場で、小池はすべてをぶつけた。


メーカー時代に知った食品ロスの現実、

解決したくてもできない業界のジレンマ、

やるのは自分しかいないという熱意、

ビジョンの実現までのロードマップetc…。

起業したときと同じ思いで、悔いを残さず。

必死でプレゼンテーションした結果――


惜しくもコンテストの優勝には届かなかった。


が、 投資家からは高い評価を受けた。

なんと後日、数社からの資金調達が決まったのだ。


「助かったという安堵が先立った」と、 小池は正直な心情を振り返る。


理想を掲げて起業したものの、現実は厳しい。


起業して痛感したことは確かだが、今は以前にも増して仕事に燃えている。


「食品原料のセカンダリーマーケット」のビジョンを語り、 業界外の投資家から支持されたことが、 力強い後押しとなっている。


自分の挑戦は間違いではなかった。


まずは資本主義の原則に従い、 ビジネスを安定させてから、本来のビジョンへ。


資金を投入して開発する新しいシェアシマは、 食品業界のプラットフォームとしての機能をさらに充実させ、2025年にもリリース予定だ。


 

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