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M&Aを民主化する 後編

小越 建典


情報を民主化する


MANDAのサービスは一言で言えば「M&Aの検索エンジン」だ。


M&A仲介各社がWeb上に公開する売り出し情報を

スクレイピング(Webを広く探索して情報を抽出)して、

自社のサイトで公開する。


加えて、独自に売り手から直接情報を募る。


2024年7月現在、MANDAのサイトには、

売り手からの情報が2万2000件以上掲載されている。


業界大手でも、一社あたり数百件しか、

公開されていない世界で、

この情報量は圧倒的だ。


買い手は地域や業種、キーワードで、

幅広い選択肢の中から簡単に、

ニーズに合った売り手を探すことができる。


そして、驚くべきは、

すべての仕組みが【無料】で

提供されていることだ。


掲載料、登録料はもちろん、

成約時の手数料まで、

売り手、買い手ともに一切の費用がかからない。


圧倒的に情報をオープンにし、

人が集まるマーケットをつくり、

そのなかで有料の広告掲載や

専門家の紹介などで収益を得る。


プラットフォームは仲介を一切行わず、

ユーザーとの情報格差を完全にフラットにする

新しいビジネスモデルだ。


自分だからできること


売り出し情報を集約した現在の状態を

森田はM&Aにおける

「情報の民主化1.0」と位置づけている。


さらに情報のオープン化を進め、

民主化2.0、3.0へと、構想は広がる。


当面の課題は収益化だ。


実際にM&Aの世界に飛び込んでみると、

テクノロジーだけでは解決できない課題に直面した。


たとえば、売り手にとって事業売却は

一生に一度あるかないかの一大事で、

事業に対する思い入れも強いから、

人的サポートがなければ、

成約まで至らない。



この部分をフォローできなければ、

本当に使いやすいプラットフォームにはならず、

従って人は集まらない。


一筋縄ではいかないビジネスの難しさを

痛感する日々だ。


「バカなんじゃないか? と良く言われます。

儲かる仕組みができている業界だから、

誰も無料でやろうなんて思わないんです」


それでも、森田はM&A業界の破壊と再構築を目指す。


テクノロジーの力と廃業の悔しさ、

両方を身をもって知る自分の使命なのだ。



M&Aを民主化する

 

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