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常識を疑え!新しい当たり前をつくった中小企業3選

小越 建典


企業のクリエイティブをお手伝いしたり、メディアで執筆していると、ビジネスには社会の常識を覆す力が確かにあると実感します。アセットの大小は関係ありません。むしろ、柔軟な発想で身軽に動ける中小企業にこそ、「新しい当たり前」をつくる土台があります。



一箱1万円の線香花火(**筒井時正玩具花火製造所)


線香花火といえば、せいぜい一束数十〜数百円、手軽な花火というイメージですよね。安価な外国産に押されて、国産の線香花火はシェア数%という状態だったそうです。

そんななかで筒井時正玩具花火製造所が開発したのが、一箱1万円(現在1万5000円)の超高級線香花火「花々」です。火薬には宮崎産の松煙、紙は福岡産の手すき和紙を使うなど、国産素材に徹底的にこだわりました。火の玉が大きく、落ちにくく、長く楽しめるのが特徴です。

ただ、いくら高品質でもただの線香花火が、そんなに高く売れるわけはありません。彼らは、「贈答品」として線香花火を再定義したんです。「花々」は、その名の通り花びらのような仕上げで、桐箱に収められ、和ろうそくと燭台が付属しています。

YouTubeでインフルエンサーが注目し、大いに話題化しました。とても日本的だけれど、これまでなかった「花火を贈る」という新しい文化を提案し、1万円の線香花火を成立させたのです。



品乳ブラ(feast)


「なんで、胸がある子にはランジェリーを選ぶ楽しみがあって 品乳にはない?」

ハヤカワ五味さんのツイートが共感を呼び、リツイート1万5000件という万バズに。小胸向けの下着ブランド「feast」は、予約販売スタートから大いに注目され、初回販売分を即日完売しました。

ランジェリーには華やかで可愛らしいデザインがたくさんあるようで、実は小胸女性の選択肢は、実はとても限られるのだそう。美大生だったハヤカワさんが2014年に創設した「feast」は、そんな常識を変えます。可愛いデザインとピッタリのサイズ感が両立したラインアップを展開し、下着を選ぶ「悩み」を「楽しみ」に転換しました。

そもそも、小胸は「貧乳」なんてとてもネガティブで、失礼なワードで表現されていたわけです。ハヤカワさんたちは「品乳」、さらには「シンデレラバスト」という前向きで、愛らしいネーミングに置き換え、たった一言のツイートで大爆発させました。何ともしびれるコピーです。



ほめちぎる教習所(南部自動車学校)


自動車教習所の教官って、厳しい指導をするのがふつうだと思いませんか? そんな常識を覆したのが、三重県の南部自動車学校。少子化や車離れが課題となる中、「ほめて伸ばす」アプローチを採用し、5年で生徒数を約3倍に増やしました。

指導の基本は「8割ほめて2割叱る」。たとえば「シートベルトを締めるのが早かったね」「後方確認がバッチリだよ」といった“小さな成功”を見逃さずにほめ、安心感を与えます。必要な注意はその後に行うため、生徒は前向きな気持ちで技術を吸収できると言います。同校によれば、生徒数が増えただけでなく、試験の合格率は上がり、卒業生の事故率が半減したそうです。

「ほめて伸ばす」は現代の教育やマネジメントの基本なのかもしれませんが、「厳しくて当然」の常識がある場こそ、逆張りの発想が効きそうです。



まとめ


皆さんのビジネスにも、隠れた問題、理不尽な慣習はありませんか? 常識を疑ってみると、ブレイクスルーのチャンスが見えてくるかもしれません。


 

株式会社シーティーイーは、企業がつくる雑誌「コーポレートマガジン」を推進します。

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