麻雀ビジネス論
- 小越 建典

- 16 時間前
- 読了時間: 5分
御社のビジネスを麻雀で例えてください。
という、大変知的な話をします。
麻雀好きのビジパはちょっと盛り上がる、よく知らない人は麻雀とビジネスの両方が学べる、おトクなコラムです。
麻雀とビジネスに何の関係がある?
一応、後者の方のために…
麻雀とは、要するに「絵合わせ」ゲームです。14枚の牌(パイ)の絵柄をそろえたり、数字を並べたりして、ポーカーのように「役」を完成させれば上がり。つくるのが難しく、美しい役ほど、高い得点が与えられます。
役にはそれぞれ特徴というか、個性があります。プレイヤーは、まず配牌という手持ちの資産があり、戦略を立て、時には方針転換しながら、美しい「絵合わせ」をつくっていきます。
これってビジネスモデルだなー。
と思うんです。手持ちの経営資源を育て、うまく組み合わせて強い組織と事業を作り上げていく。麻雀はビジネスを象徴しています。
そして私は、優れたビジネスモデルをもつブランド、企業を「役満ビジネス」と呼んでいます。例えば…
Netflix:強い資源がかみ合った「大三元」ビジネス

「大三元」は単独でも役が成立する「発」「白」「中」という強い牌を、3枚ずつそろえる役満です。
ビジネスでも強い資源をかみ合わせて、強いモデルを作るのは王道と言えるでしょう。
典型的なのはNetflix。同社の「大三元」は、「UX」「データ」「コンテンツ」です。Netflixはレコメンド機能を磨き抜き、旧作も含め映画と出会う体験を提供しました(UX)。すると、ユーザーの行動履歴が蓄積し、作品の好みがわかってきます(データ)。
そのデータを利用して、彼らは自前の映画・ドラマ制作に乗り出しました(コンテンツ)。最近では『地獄に堕ちるわよ』など話題作を数多く出しています。
3つの相乗効果でビッグテックに成長した、まさに大三元ビジネスです。
Airbnb:本来使いづらい資産を活かす「国士無双」ビジネス

麻雀では不ぞろいな字牌や1と9の数牌は、役をつくりにくい牌として、敬遠されがちです。ただ、そんな使いづらい牌だけ集めると、通常のルールを無視して成立する「国士無双」になります。
ビジネスでも、使われていなかった資産を、うまく活用して無双するケースがあります。例えばAirbnbです。
彼らは「他人の家の部屋」を市場に持ち込み、商品化してしまいました。お金を払って宿泊するのは決められた宿泊施設、という既存のルールをひっくり返した「国士無双」です。
とらや:黙々と積み上げて最強ブランド「四暗刻」ビジネス

四暗刻は、同じ牌を3つそろえる「暗刻」を4つつくる役満です。他人の捨て牌をとってくることはできず、自分で良い牌を引いてこなければなりません。
このコツコツ感に、老舗の凄みを感じます。例えば和菓子製造のとらやは、室町時代に創業し、現在は「羊羹」あるいは「高級手土産」の代名詞となっています。
技術、実績、信頼といった資産を積み上げながら、最強のブランドを築いています。
無印良品:純度の高い世界観「緑一色」ビジネス

ここまで、「大三元」「国士無双」「四暗刻」は、役満の中でも比較的登場する頻度の高い役でした。ここからは、さらにレア度の高い役満ビジネスを見ていきましょう。
「緑一色」は、その名の通り緑の牌だけを集める役満です。「索子」という竹をモチーフにした牌の中のいくつか(索子は基本緑だけど、一部は赤が少しだけ入っている。緑一色は緑だけの牌を使う)と、「発」をそろえて成立させます。
「緑一色」はまさに無印良品の世界観です。無印良品は「ブランドじゃない」をブランド化した不思議なブランド。ブランドロゴを付けるだけで、モノの価値が何倍にも上がったり、ステータスや同調圧力によって商品を「選ばされている」消費社会に、徹底してアンチテーゼを突きつけます。
その純度へのこだわりが、選ばれた牌だけで作られる「緑一色」に重なるのです。
Pokémon GO:説明不要でヒット確定の「天和」ビジネス

「天和」は配牌の時点で、すでに上がりが成立している役満です。ビジネスでも、みた瞬間にヒットするとわかるアイデアがありますよね。
例えばPokémon GO。現実世界を舞台にポケモンを捕まえられるなんて、楽しいに決まっていますよね。事実、リリース前から大きな話題で、即大ヒットしました。
麻雀の「天和」がめったに見ることのない役満であるように(私はゲームでしか、見たことがありません)、「天和」ビジネスはそうそう実現するものではありません。だからこそ、みんなが夢見るのかもしれませんが…。
NOT A HOTEL:常識を逸したモデル「九蓮宝燈」ビジネス

確率20万分の1。「一生に一度できるかどうか」「上がったら死ぬ」とまで言われるキングオブ役満が「九蓮宝燈」です。同じ種類の数牌で「1112345678999+α」をそろえる、「誰が考えたんだ??」というマニアックな設定です。
誰も想像しないモデルだけれど、確かに美しい。そんなビジネスが確かにあります。
私が知る限りでは、かつて8億円の別荘に「今すぐ買う」ボタンを付けたNOT A HOTELは「九蓮宝燈」ビジネスです。
高級別荘を年間10泊単位から分割購入し、使わない日はアプリで自動的にホテルとして貸し出せる仕組み。世界的な建築家が設計した拠点が全国にあり、所有者は他のすべての拠点にも相互に宿泊できます。
しかも、ネットでパースだけで売る、という大胆なやり方。建てる時点では資金回収が済んでいるという、非常によくできたビジネスモデルです。
御社はどんな「役満ビジネス」を育てますか?
「麻雀ビジネス論」をご理解いただけたでしょうか? ただの麻雀好きの遊びではありません。麻雀という型にはめることで、ビジネスモデルの個性を考え、再構築することが、その真髄。それは、ビジネスの未来を定義し、戦略を共有することです。
御社はどんな「役満ビジネス」を育てますか?
強い資産を持っているなら「大三元」、純度の高い尖ったコンセプトがあるなら「緑一色」、もしかしたら「天和」しているかもしれません。
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