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「強みを伸ばす」か「弱みを克服する」か論争に決着をつける

  • 執筆者の写真: 小越 建典
    小越 建典
  • 3 日前
  • 読了時間: 4分

得意なことに集中すれば、能力を発揮できるし、成果にもつながりやすいです。近年は一般に、「強みを伸ばせ」を押す風潮が優勢のように思います。ところが昨今、「弱みを克服せよ」論を耳にすることが多くなりました。個人的な環境かもしれませんが、強み偏重の揺り戻しが来ているように感じます。

例えばこんな意見です。


強みだけで勝負する人は、そもそも“それだけで食えるレベル”の圧倒的な強みを持っている人か、もしくはそれを勘違いしている人のどちらかです。

そして現実には、前者はほんの一握りです。

成功者は「強みを伸ばせ」と言う。 でもそれは“成功者の視点”であって、凡人の再現性とは別の話です。

多くの人は強みで勝負すると、必ず「上には上がいる」という壁にぶつかり、あっさり負けます。

https://x.com/kinoppirx78/status/2041824767863615856


なるほどなあ、と思います。私はフリーランスなので、苦手なこともやらなければ、仕事になりません。むしろ、それをやっているから、ご飯を食べられているような気もします。

「強みを伸ばす」か、「弱みをなくす」か。永遠のテーマに論争に答えを出してみたいと思います。



良い温泉があっても、お風呂がなければ誰も入れない


ここでヒントにするのは、てらすラボでも以前ご紹介した、ヘラルボニーという会社です。彼らは「強みを伸ばす」ビジネスの最たる存在だと思います。

ヘラルボニーは、知的障害を持つ作家たちとライセンス契約を結び、彼らの絵や文字をネクタイ、ジャケット、バッグなどにデザインし、製品化しています。石破前首相が身につけたり、JALやディズニーとの企業コラボレーションが行われたりと、すごく注目されている会社です。

作家たちは、型にはまらないアートを生み出す圧倒的な才能を持っています。価値の「源泉」です。しかし、それを経済的な価値として人に届ける手段を持ちません。

一方、ヘラルボニーは作品をデザインし、製品化し、市場へと「流通」させる仕組みをつくりました。元々は落書きだと思われていたものが、数万円、数十万円で売れていく仕組みです。

価値の創造には、その素をうみだす「源泉」と、それを人や社会に届ける「流通」の両方が必要だ。

ヘラルボニーを見ていて、そう思います。良い温泉が湧き出ていても、お風呂がなければ誰も入れませんよね。「源泉」と「流通」、どちらが欠けても価値は生まれないのです。



「強みを伸ばす」が成立する条件


個人のキャリアにも、同じ構造が当てはまります。

「強みを伸ばす」戦略が機能するのは、自分の弱みを補ってくれる誰かがいるときではないでしょうか。飛び抜けたアイデアマンだけでは、モノゴトを形にすることはできず、実行力をもつ人の存在が重要になります。深い専門知識を持つだけでは聞いてもらえませんが、それを外に届けられる発信力のある人がいれば、多くの人を巻き込むことができます。

互いの「長所」が補完し合うとき、「強みを伸ばす」はこれ以上ない戦略になります。

ヘラルボニーは、まさにこの関係をつくったのです。

「強みを伸ばす」を盲信して失敗するのは、この「源泉」と「流通」の関係性が見えていない、あるいは誰かがつくってくれるのを待っているからではないでしょうか。



結論。環境と関係性の構築が最重要


ではどうするか。現実度と理想度で3つの戦略があると思います。

現実度:高い/理想度:低い→「弱みを克服する」を優先

ある程度「弱みを克服する」というのは、現実的な作戦です。仕事の中で、強みだけで勝負できる仕事なんて、そうそうはありません。芸能人やスポーツ選手だって、苦手なことをたくさんしています。

まず、弱みを平均点くらいにして、穴のない状態で強みを伸ばせば、大きな失敗やダメージを受けることなく、キャリアを伸ばしていけるでしょう。

現実度:低い/理想度:高い→「強みを伸ばす」を優先

ただ、個人としても社会としても、やはり理想は「強みを伸ばす」ではないでしょうか。みんなが得意なことを担い、能力を高めていったほうが、全体の生産性は上がります。

極論ですが、みんなが自給自足の生活を送っていたら、生産性は上がりませんよね。分業して各々が得意なものの生産に集中しているから、私たちは豊かな生活ができるわけです。

また、AIが人の作業を代替するようになれば、なおさら人間の強みが重要になります。

現実度:高い/理想度:高い→「強みを伸ばす」ができる環境・関係性をつくる

現実と理想のバランスをとるのが、ヘラルボニーのモデルです。「強みを伸ばす」に集中するには、弱みを補ってくれる存在が必要。それが得られる環境、関係性を、自分でつくることが、これからのキャリア形成に重要になると思います。

会社の内外に仲間を増やしたり、外部サービスを活用したり、関係づくりの方法はたくさんあるはず。

そのためには、自分だけでなく周囲の人や組織の強みを、よく知っておくことが必要になります。自分だけでなく、「お互いの強みを伸ばす」発想が大切です。



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