グリコ営業に学ぶ「相手を“受信モード”にする方法」
- 小越 建典

- 16 時間前
- 読了時間: 3分
「伝えたい話ほど、相手に聞いてもらえない」
そんな切ない経験に、心当たりはないでしょうか?
ビジネスなら、練りに練ってよくできた提案なのに、なぜかプレゼンの場では相手に聞く気がない…私自身、そんな苦い思い出は一つや二つではありません。そんなときは「伝え方が悪かったのか」「内容で満足させられなかったのか」「インパクトが足りなかったのか」と、ぐるぐる考えてしまいますが…
問題の本質は伝え方や話の内容の、その少し手前にあるのかもしれません。相手が「受信モード」になっておらず、そもそも聞く準備が整っていない、ということはないでしょうか。
今日紹介する「セブンティーンアイス」のエピソードは、そんな可能性に気づかせてくれます。

セブンティーンアイスが増殖中
江崎グリコの「セブンティーンアイス」が、高校や大学、専門学校など学校内で急増していることをご存知でしょうか?
セブンティーンアイスは、1983年から続くロングセラー商品です。自動販売機専用のアイスクリームで、主にスイミングスクールやボウリング場などのレジャー施設に設置されてきましたが、長い間学校には広がっていませんでした。
それが2025年現在、現在の高校へのセブンティーンアイス設置数は、18年度の約2倍にまで増加したそうです。
生徒の自主性を育むアイス
急増の背景には、グリコさんの営業ががんばりがあるのでしょうが、最初はほとんど門前払いだったそうです。
それも理解できますよね。そもそも勉強にアイスは必要ありませんし、包装の紙や棒などのゴミは出るし、アイスを垂らして教室や廊下を汚す、などの懸念もありそうです。
でも、グリコさんはここを逆手に取りました。
生徒自身にマナーを守り、ルールを考えさせるためのツールとして、セブンティーンアイスを提案したのです。「学校内で食べる場合は食堂のみ可」「休憩時間にだけ使用できる」「専用のごみ箱に必ず分別して捨てる」といったルールを、生徒たち自身が作り、運用しています。「セブンティーンアイスマナー委員会」を立ち上げるなど、生徒の自主性を育むきっかけになったといいます。
グリコさんの社員たちも直接学校に足を運び、生徒会と価格や商品ラインアップを話し合ったり、啓発ポスターを一緒に作るなど積極的にサポートしているそうです。
一緒に課題を解決する存在
セブンティーンアイスは学校にとって、単なるアイスではなく、「教育の課題を解決するツール」になりました。江崎グリコの営業担当は「アイスを売る人」ではなく、「教育の課題を一緒に解決する人」です。
おそらく、味がおいしいとか、値段が手頃だとか、そんなことをアピールしても、学校の先生や担当者は、話を聞いてくれなかったでしょう。「17歳の若者向けの17種類のアイス」というコンセプトも、どれだけ高校生に人気なのかといったデータも、学校にはなんの関係もありません。
グリコさんは、先生や担当者の関心事である教育の文脈に、アイスを乗せました。だからこそ、彼らは「受信モード」になり、営業の話を聞く気になったのでしょう。
相対する関係から目的を共有する関係へ
モノを売ったり、主張を通そうとするとき、私たちは自然に相手と向き合ってしまうのかもしれません。正論やいいアイデアほど、「理解してもらおう」「説得しよう」としてしまいますよね。
そうではなく、まずは相手と同じ位置に立って、同じ方向を向くことが必要なのではないでしょうか。グリコさんの営業は、「うちのアイスを置いてください」と学校の人たちに相対してアピールすることを止め、「生徒の成長」という同じ方向を向いたのでしょう。
てらすラボでは、GUTS×社長、GUTS×看護師など、お仕事の感動話を掲載しています。
もしまわりで感動話を知っている方、推薦をお願いします。
お問い合わせはこちらへ。



