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なぜあなたの目標は達成されないのか? KPIという「仮説検証」に学ぶ

  • 執筆者の写真: 小越 建典
    小越 建典
  • 1月21日
  • 読了時間: 5分

更新日:1月27日

なぜあなたの目標は達成されないのか? KPIという「仮説検証」に学ぶ

先日、Xのフィードで経営思想家の山口周さんが「KPIとPIは違うのに、多くの人は混同している)と指摘をしている動画を見ました。KPIは経営やマーケティングの用語ですが、個人の仕事や生き方にもつながる概念なので、掘り下げてみたいと思います。


山口さんの話は、大筋こんな感じです。


「アパレル店で『売上を上げろ』と言っても、なかなか上がらない。

売上はPI(パフォーマンスインジケーター)、つまり結果指標で直接管理が難しい。

では何を管理すべきか?

例えば売上と関係がある『試着の回数』だ。

このプロセスの指標がKPI。

結果ではなく、成果につながる行動を明らかにして管理する——これが本来のKPIなのに、世の中のほとんどの人が結果をKPIと呼んでいる」


何枚売れ!いくら売れ! とだけ言われても、現場は具体的に何をすればいいか、そのままではわかりにくい。

ただ「試着の回数」というプロセスの指標=KPIならば、明日から行動できます。


ちなみに、ことばの定義を整理しておくと、KPI(キーパフォーマンスインジケーター)とは、「目標達成のためのプロセスを評価する指標」のことです。重要業績評価指標と訳されます。


対して、PI(パフォーマンスインジケーター)=業績評価指標は、結果の指標を指します。売上、シェア、成長率、顧客数など、「何が起きたか」を示すものです。



個人のPIとKPI


「年収1000万円を目指す」「TOEIC900点を取る」「10kg痩せる」——年始にあたって、そんな目標を立てた読者もいるでしょう。これは全部PIです。結果だけ目標にしていると、何をどうすればよいのか、わからなくなってしまいます。


そこで、こんな風に分解して行動を設定します(こういう目標を立てた人も多いでしょう)。


  • 年収アップ → 「週3回、業界最新情報を30分読む」「月2件、社内提案する」

  • TOEIC → 「毎朝7時に20分リスニング」「通勤時に単語50個復習」

  • ダイエット → 「1日8000歩歩く」「夕食の炭水化物を半分にする」


中長期の結果はコントロールできませんが、一つ一つのプロセスはコントロールできます。KPIは、「プロセスを定量的に見える化」し、PIの目標を達成するための概念です。



なぜKPIの概念が生まれたのか


では「プロセスを管理する」という考え方は、どこからはじまったのか?


有名なのは20世紀初頭、エンジニアであり経営学者のフレデリック・テイラーが唱えた「科学的管理法」です。ざっくり言えば、データと科学的分析に基づき生産のプロセスを管理する発想です。


例えばテイラーは工場内の作業を細かく分解し、ストップウォッチで各タスクにかかる最適な時間を測定しました。職人の動作を観察して最も効率的な動きを調べたり、作業しやすいシャベルの設計を考えたりしました。


マニュアルに従った作業を守り、ひとつの工程にかかる時間や、一日の作業量(またはノルマ)を目標どおり維持すれば、自然と生産台数というPIが決まります。当時KPIということばはありませんでしたが、合理的なプロセス管理という点で、考え方は同じでしょう。



Howの問題とWhatの問題


ただ、テイラーのやり方には限界もあります。


工場労働のような単純作業は、プロセスと結果が直結しています。「ネジを1分で10本締めれば、1日に10台の自動車が生産できる」という因果関係が、比較的明確なわけです。


ところが、営業やマーケティング、あるいは製品開発のような知識労働になると、話は複雑です。ピーター・ドラッカーはこんなことを言っています。


「肉体労働の問いは『どうやってうまくやるか?』だった。知識労働では、(目的を達成するために)『何をするか』を問わなければならない」

どういうことか?


例えば自動車を「作る」時は、「正しい動作」を「正しい回数」やれば、必ず成果が出ます。ネジを1分で10本締めれば、1日に10台の自動車が生産できる、というようにプロセスと結果の因果関係が明確です。これは、どううまくやるかという「How」の問題。


一方、自動車を「売る」場合、「販売店に来てもらう」という一事をとっても複雑です。既存顧客に電話をかけるか、新規顧客を広告で集めるか、広告ならどんな媒体を使うのかetc…。やるべきことを「What」から考えなければなりません。


そもそも、販売店への集客がうまくいったからといって、自動車が売れるとは限りませんよね。もちろん、たくさん人を集めればたくさん売れるはずですが、同じ100人集めたとしても、それが既存顧客か新規顧客か、購買意欲があるのかどうかで、結果はだいぶ違います。相関関係から、因果関係を推測するしかないんです。



KPIの本質とは


知識労働のような複雑な課題では、何に注力して指標をとるか、というKPIの「What」が大切になります。年収アップや英会話、ダイエットと言った人生の課題も、同様でしょう。


重要なのは、KPIとPIは相関関係でしかなく、想定を外すこともあるということ。勉強や運動をがんばっても、年収が必ず上がったり、体重が減らせるとは限りませんよね。KPIの設定と運用は、プロセス管理であると同時に、「何をしたら結果が出せるか」(因果関係)の仮説検証でもあります。


検証可能な状態にするために、数値的な指標を立てるのが、KPIのキモだと思います。丁寧にプロセスを管理し、仮説検証を回していけば、誰でも目標を達成できる。反対に、プロセス管理をおろそかにしたり、結果につながらないからと投げ出していては、いつまで経っても目標達成はできない。そもそも、仮説なんて外れて当たり前なんです。


KPIはそんなことを教えてくれる概念ではないでしょうか。



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