「ゼロイチ」って何?──本当の価値創造を考える
- web-cte
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更新日:16 分前

ゼロからイチをつくる=通称「ゼロイチ」──ビジネスの現場で重要性が増している考え方です。起業家界隈はもちろん、既存企業においても、継続的に新しい価値を生み出していくことが求められる時代。ただ、キーワードが一般化してしまうと、その本質がぼやけ、十分に理解されないまま、言葉が独り歩きする可能性もあります。起業家のバイブル、ピーター・ティールの『ゼロ・トゥ・ワン』も参照しながら、「ゼロイチ」を定義し直したいと思います。
2つのヒット商品から考える
2024年、市場で注目を集めた2つの商品があります。一つは、レモンの輪切りが缶に入った「未来のレモンサワー」。もう一つは、単身者向けの食洗機「ソロタ」です。どちらも革新的で魅力的な商品ですが、「ゼロイチ」という観点から見ると、決定的な違いがあります。
結論から言えば、真のゼロイチは「ソロタ」です。なぜでしょうか?
従来の食洗機は、ファミリー層をターゲットに設計されてきました。大量の食器を洗うことを前提に、それなりの設置スペースを必要とする仕様。単身者は、洗う食器の量も限られるし、そもそも置く場所がない。食洗機という製品カテゴリー自体が、単身者にとっては「不要なもの」だったのです。
ソロタは、この前提を覆しました。単に小型化したのではありません。「食器棚としても使う」という新しいライフスタイルを提案したのです。
朝食で使った食器をソロタに入れて、そのまま会社へ。帰宅したら、きれいになった皿で夕食を楽しむ。洗って、しまって、また使う──この一連の流れを一台で完結させる発想は、単身者という「食洗機を必要としていなかった層」に、まったく新しい価値を提供。これまでにない市場を創出しました。
一方、「未来のレモンサワー」はどうでしょうか。レモンの輪切りが缶に入っているという斬新さが、市場で大きな反響を呼びました。私も感動しましたし、確かにおいしい。
しかし、これは既存の「レモンサワー市場」の中での革新です。レモンサワーを飲む人に、より良い体験を提供する──いわば「モアベター」な商品。ここに、ゼロイチとの本質的な違いがあります。モアベターは、既存市場の中で競争力を高める改善です。対してゼロイチは、新しい市場そのものを生み出す創造なのです。
独占できる市場をつくる
ピーター・ティールは著書『ゼロ・トゥ・ワン』の中で、「ゼロサムゲームをやめて独占せよ」と説いています。既存市場でのシェア争いは、結局のところパイの奪い合いです。しかし、誰も気づいていない新しい市場を創造すれば、そこでは独占的なポジションを築くことができます。
ソロタがまさにそうです。「単身者向け食洗機」という市場を創出することで、競合のいない領域を手に入れたのです。これこそが真のゼロイチであり、持続的な競争優位性の源泉となります。
ゼロイチとは、単なる新しさや目新しさではありません。それまで存在しなかった価値を生み出し、新しい市場を創造すること。そして、その市場で独占的なポジションを確立すること。この本質を理解することが、真の価値創造への第一歩となります。
あなたのビジネスは、既存市場の中での改善を目指していますか。それとも、まだ誰も気づいていない新しい市場を創造しようとしていますか。その違いが、ゼロサムとゼロイチを分けるのです。
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