「はったり」を再定義する
- 小越 建典

- 13 分前
- 読了時間: 4分

先日、SNSで話題になった「フリーランス論争」をご存知でしょうか? 筆者自身もフリーランスなので、ドキッとする話ではありましたが、企業経営をはじめ競争環境の存在するあらゆる領域に共通するテーマです。
現有能力の切り売り
「フリーランス論争」の概略は以下のとおりです。
「フリーランスから正社員への「出戻り転職」が5年前の3倍に急増」という高野秀敏さん(@keyplayers)の投稿に対して、「ブレイキングダウン」などで有名な、溝口勇児さんがこんなことを言っていました。
(フリーランスは)スキルを積み上げてるようで、実は現有能力の切り売りをしているだけ。自分の能力はあまり拡張しない。 それに気づかないまま年齢を重ねると、ある日いきなり詰む。体力は落ち、単価は上がらず、代わりはいくらでもいる。自由だったはずなのに、誰よりも不自由になる。 |
この話のキモは「現有能力の切り売り」という概念です。自分にできることを、商品やサービスとして提供し、対価を得る。
そのことだけ考えると、経験のあることだけに取り組み、得意な領域から出ないのが正解。相手に対して誠実で、自分はリスクを取らず、迷ったり試行錯誤することもなく、仕事を完結できるので高効率です。とても賢い、というか合理的な選択に思えます。
ただ、世界は常に変化しています。技術は進化し、ライバルが参入し、昨日まで通用したスキルが今日は陳腐化します。「現有能力の切り売り」は、停滞と相対的な後退を意味します。
当初の価値は徐々に目減りしていき、やがて詰む=単価が下がったり、仕事がなくなり生活できなくなる、というわけです。
これは、フリーランスに限ったことではないでしょう。会社員はもちろん、企業のビジネスや政治、国家運営、スポーツなど、あらゆる分野に通じるメカニズムに見えます。
「現有能力の切り売りを続けると、ある日突然詰む」
「はったり」のススメ
ただ、会社員は恵まれた環境にあるとは言えそうです。前述の高野さん(@keyplayers)は、こんなふうに指摘しています。
正社員として組織にいると、嫌でも新しい挑戦をさせられる。理不尽なプロジェクトを任される。それが結果的に能力を拡張する。 |
組織による所はあるかもしれませんが、賛同する人は多いでしょう。「現有能力の切り売り」を脱する「成長の機会」を与えられるわけです。しかも、失敗してもいきなりクビになったり、給料がなくなるわけではない。
一方、フリーランスをはじめ、そんな環境にない人や組織は、「成長の機会」を作り出す必要があります。「自由なんだから、勉強して新しい能力を作り続ければよい」と言われるかもしれませんが、人も組織も簡単にそれができるほど強くはありません。ついつい効率よく稼げる「現有能力の切り売り」に向かうのは、無理からぬことです。
そこで筆者は「良いはったり」の活用を提案します。
「はったり」を辞書で引くと
デジタル大辞泉 |
と、勇ましいことばが並びますが、「良いはったり」は「自分の能力を大きく見せる、誇張する」くらいの意味でとらえてください。
仕事を依頼されて、経験や能力の裏付けなしに、涼しい顔で「できます」、やる気満々で「任せてください」と言う人、いますよね? あるいは、ご自身で同じように「はったり」を効かせることもあるかもしれません。
単なる安請け合いではなく、「できるかわからない」ものを「できる」かのように振る舞い、「当然のようにやる」のが「良いはったり」です。
未来を先売りする
もちろん、仕事を受けたからには、辻褄を合わせなければなりません。
普通の考え方では、スキルを学ぶ → 習得する → サービスを売る、という順番ですが、「はったり」は違います。サービスを売る → 必死にスキルを学ぶ → 習得する、という逆順です。
約束から逃げられない強制力が、人を動かします。「いつか勉強しよう」ではなく、「来週までにやらなければ」です。大いに迷い、試行錯誤するので効率は悪い(場合によっては赤字を出すこともある)ですが、その経験は確実に資産になります。
「良いはったり」とは「未来能力の先売り」です。
まだ手に入れていない能力を、先に売ってしまう。そして、約束を果たすために、必死に追いつく。その差分が、そのまま「成長機会」になるのです。
「はったり」にはリスクはありますが、それを恐れ「現有能力の切り売り」だけを続ければ、緩やかに、確実に、詰んでいきます。一見正しく、効率の良い仕事の裏に潜むワナを意識しつつ、「良いはったり」を使いこなしていきたいものです。
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