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文春VS新潮バトルから考える、強いブランドの在り方

  • 執筆者の写真: 小越 建典
    小越 建典
  • 12 分前
  • 読了時間: 5分
文春VS新潮バトルから考える、強いブランドの在り方

フジテレビのドラマに出演したベテラン男性俳優と女性俳優のトラブルが、週刊誌やSNSを賑わせています。


コトの発端となる記事を掲載したのは週刊文春、一方ライバルの週刊新潮は別の視点から当事者のインタビューを掲載。「文春の6割が廃棄され、発行部数が週刊新潮に抜かれた」など、真偽不明の情報も流れました。


その根拠はさておき、「文春が新潮に抜かれた」とバズること自体、文春のブランドの強さを象徴しています。正義の味方か、ダークヒーローか、はさておき、やっぱり文春はみんなの注目を集める唯一無二の存在なんです。


今回は3つのポイントから、文春のブランドを解剖し、私たちのビジネスやキャリアのヒントを探りたいと思います。



1.矛盾を共存させている


「文春とはエンターテインメントとジャーナリズムだ」 週刊文春の媒体資料では、編集長がそう豪語しています。 グラビアや著名人のエッセー(エンタメ)と、権力やタブーに怯まない特集記事(ジャーナリズム)を指しているようです。


そうはいっても、実際のところ特集記事も半ばエンタメとして消費されています。正論を言えば、事実を伝えるジャーナリズムをエンタメにされては困るわけですが、おもしろくないと読まれないのも現実です。


この矛盾を成立させるところに、文春のキモがあります。


他の事例を言うと、同じ出版業界ではありますが、累計1300万部を売り上げる『うんこドリル』も同じ型です。


『下ネタと勉強』という、本来絶対に交わらない異物を同居させることで学参書の新ジャンルをつくりました。


勉強嫌いの子どもが、ゲラゲラ笑いながら、進んで学習机に向かう。


昭和以来、誰もみたことのないシーンを家庭にもたらし、「成績が上がるとか、勉強がよくわかるとか以前に、まず勉強させたいたいんだよ!」という親のハートをがっちりつかみ、今や定番ブランドと成長しました。



2.言い出しっぺになる


週刊文春の記事は取材に基づく、いわゆる調査報道です。


その手法の良し悪しや、内容の真偽には賛否あるでしょう。が、とにかく自分たちで獲得した一次情報を伝えています。

大手メディアやSNS、さらには生成AIで、二次、三次情報があふれる現代だけに、人が汗をかく意義は大きいでしょう。


週刊新潮も同じく調査報道のメディアです。でも、少なくとも今回に関しては、「言い出しっぺ」にはなれませんでした。


「新潮が文春を抜いた」という話がバズること自体、新潮が文春を参照する構図を裏付けるように思います。


文春は世に「コトを起こす」という点で、実質的に「言い出しっぺ」になっています。

他社が対抗しようとすればするほど、アンチが騒げば騒ぐほど、自分がまいた種が大きく育ちます。


およそ40年前、「アサヒスーパードライ」も言い出しっぺとしてコトを起こし、周囲が巻き込まれることで、市場を定着させました。


1987年「辛口・キレ」をコンセプトとするスーパードライが大ヒット。

すると、ライバルのビール会社が次々に「ドライビール」を発売しました。

けれど、残っているのは元祖のスーパードライだけ。

というより、ライバルたちは参入することでドライビールという市場を生み出し、 他社のためにわざわざ元祖という地位をつくってしまいました。


これはすごくハマった例ですが、強いブランドは相手の力を自分の力に変えてしまうんですね。



3.誰かの大切な存在になっている


優れたブランドは固有名詞化します。


インターネット検索するではなく「ググる」。

シャワー付トイレではなく「ウォシュレット」。

今旬のサッカーネタを挟ませていただくと、 PKの時にキーパーが動くのを見越してチョンと真ん中に蹴るやつ。 あれは「パネンカ」というのですが、チェコの往年の名選手の名から取っています。


そして週刊文春の場合は、週刊誌のスクープではなく「文春砲」です。

名前やブランドが固有名詞化すれば、それはもう正真正銘のスターの証と言って良いでしょう。


ただ、ここで言いたいのは、「一般名詞のような大きな概念を代表しなくてもいい」ということです。


例えば、どこのコンビニでも、お菓子の棚にはプライベートブランドの安価な商品が並んでいます。「これ元々はあの商品だろうな」とわかるスナック菓子やチョコ、クッキーも少なくありません。

けれど、「ポテロング」や「サラダせんべい」はプライベートブランド化しにくく、価格競争にも巻き込まれないらしいのです。


なぜなら、代替が効かないから。

消費者が求めているのは「ポテトスティック菓子」や「塩味のせんべい」ではなく「ポテロング」であり「サラダせんべい」なんです。

この感覚、私は個人的に両ブランドの大ファンだからよく分かる。

ほしければ少しくらい高くても関係ないし、棚の目立たないところに置かれている商品を探してでも買いたくなります。


これこそスターの真骨頂です。万人のスターである必要はないんです。

誰か一人にとってでも、代えの効かないスターを目指せばよいのです。

週刊文春だって、特に社会正義に燃える(それもエンタメの一種かもしれないが)一部の人に支えられて、大きくなったはずですから。



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