プリキュアビジネス道


8歳の愛娘が、プリキュアの新作映画を3週間で4回も観ています。「何がそんなに好きなの?」と聞いたら、ラストの歌とストーリーだと言っていました。確かに名曲ですし、歴代プリキュア映画の中でもいい話だと思います。とはいえ、さすがにここまで短期のリピートにはげんなりしていたのですが…
「一歩踏み出して転んでも、それも大切な一歩だよ」
メインキャラのキュアアンサーのひとことだけは、私の頭を離れません。子どもを勇気づけると同時に、日々奮闘するビジネスパーソンにも、深く刺さる言葉だからです。
「転んでもOK」の思考は、現代ビジネスのフレームワークに通じます。
フレームワーク①PDCA
たとえば「PDCA」です。
計画を立てて(PLAN)、実行して(DO)、結果を確認して(CHECK)、改善します(ACTION)。PLANをDOに移すことで、売れた/売れなかった、反応があった/完全にスベった、という結果が手に入ります。
PDCAでは必ずしも失敗を否定しません。転んだとしても、CHECKとACTIONがあることで、転ぶ前より一つ賢くなっています。
フレームワーク②MVP
「MVP」は、もっと露骨に当てはまります。
Minimum Viable Productです。実用最小限の製品と日本語では表現されます。最初から完璧な商品をつくるのではなく、顧客に価値を届けられる最小限のものをまず出して、反応を見ながら育てていく考え方です。
100点になるまで会議室で考え続けるより、60点でも世の中に出してみます。もちろん失敗するかもしれません。というより、失敗含みのプロダクトと言ってよいでしょう。
でも100点満点の大作をつくって盛大にコケるより、小さく一歩踏み出して、小さく転ぶほうが良いです。学んで次の一歩を早く考えられます。
フレームワーク③KPI
「KPI」とは「一歩」そのものです。
アパレルショップが「売上を増やす」ではなく「お客さんの試着回数を増やす」を、目標にしました。すると店員の行動が変わりました。「買ってください」と迫るのではなく、「これも着てみませんか?」と声をかけます。似合いそうな服を提案します。試着しやすい雰囲気をつくります。
試着する人が増え、その先にある購入も増えて、結果的に売上が伸びました。
「売上を上げろ」と言われても、今日何をすればいいのかわかりません。でも「試着してもらう」なら、目の前のお客さんに対して、今すぐ一歩を踏み出せます。
プリキュアはビジネスの教科書といってもよさそうです。
小越流 総“喝”!
そして「一歩踏み出して転んでも、それも大切な一歩だよ」は、もうひとつビジネス、いや人生の本質を示しています。
PDCA、MVP、KPIは、プロジェクトを前に進めたり、商品を売るなどの目的達成のために、考えられたフレームワークです。しかし、プリキュアは、「一歩ずつ前進しよう」とか「失敗が成功につながる」とか言っていません。
プリキュアが体現しているのは、「一歩踏み出せば、次の一歩が現れる」ということです。成功すれば喜ぶし、失敗すれば悲しみ、悔しがりますが、本質的に結果は大きな意味も持ちません。
目的や目標を超えて、新しい可能性が立ち現れること、それで世界が広がることが「大切」なのです。
今からおよそ50年前、日本マクドナルド創業者・藤田田さんの本を読んで感銘を受けた1人の高校生が、秘書に電話をかけました。何度断られても「会いたい」と食い下がって面会を実現し、「これから何を勉強すべきか」と尋ねました。
藤田さんは、これからはコンピューターの時代だから勉強するといい、と助言しました。その高校生はのちに渡米し、コンピューターの世界へ進み、日本を代表する企業を作りました。
その高校生とは、ソフトバンク創業者の孫正義さんです。
私はこれを【一歩で世界拡張の法則】と名付けました。もちろん、有名経営者である必要はなく、人と会う、知らない場所にでかける、新たな仕事に挑戦するなど、やり方はさまざまあります。お金や仕事の目的達成のためではなく、想像もしていない可能性を出現させるために、私も一歩を踏み出します。



