top of page

>

>

terra°ce lab

差別化しない差別化が最強

執筆者の写真: 小越 建典
小越 建典
13 時間前
読了時間: 4分

差別化しない差別化が最強

「競合にはない強みをコピーで訴求しよう!自分の個性を発揮して、職場で活躍しよう!」

そう思うほど、的外れな訴求で広告がすべったり、個性的だけどイマイチ実績が残せなかったり。独自性や個性にこだわりすぎて、肝心の目的を見失う。そんな「差別化中毒」に私もしばしば陥ってきました。

「差別化しない」ことが「最強の差別化」です。愛娘が、3週間で4回も映画を観るほど、どハマりしている「プリキュア」が教えてくれました。



ディテールの積み重ねでキャラが仕上がる


はじめは、私にはその魅力がわかりませんでした。プリキュアといえば、フリフリの衣装を着た、かわいくて強い女の子たち。全員同じようなキャラクターで、まさに差別化されない存在。毎年シリーズの更新とともに発売されるグッズ類も、親の財布を狙う単純な仕掛けとしか思えませんでした。


でも、娘にしっかり調教された今ならわかります。プリキュアは一人ひとりがまったく違う個性を持ち、それぞれの持ち場で力を発揮し、ときに挫折しながら成長します。ひとつひとつ違う物語に、心を打たれます。


先週末訪れた東映アニメーションミュージアムでは、歴代プリキュアがずらりと並ぶ撮影スポットに、親子で大興奮しました。


そこで改めて感動したのが、100人近くいるキャラクターそれぞれの個性が、見た瞬間に伝わってくることです。


例えば、キュアスカイ(左)。勝ち気で破天荒なほどアクティブなキャラです。一方、キュアプリズム(右)は少し引っ込み思案だけれど、思いやりにあふれています。表情や目元、ポーズ、立ち姿。細部まで見事に描き分けられていて、性格を説明されなくても「この子はこういう子なんだ」とわかってしまいます。


そして特別展示の原画に、制作チームの仕事の凄みを垣間見ました。

手描きのキャラクターは、繊細な線の一本一本に濃淡があり、勢いがあり、生命感があります。書き込まれた作画への細かな指示からも、つくり手たちの意志が伝わってきます。撮影禁止のため、お見せできないのが残念です。



自分の土俵を見つける物語


膨大なディテールの積み重ねによって、キャラクターが立ち上がります。だから物語の中で動き出します。肝心なのは、勝ち気な子も、引っ込み思案な子も、それぞれのやり方で活躍することです。


娘が何度もリピート視聴している『ひろがるスカイ!プリキュア』第17話を、横で観ていて気がつきました。


リレーでアンカーを務めたソラ(キュアスカイ)は、次々と選手を抜き去って一着でゴール。一方、ましろ(キュアプリズム)は途中で転んでしまい、悔し涙を流し、深く落ち込みます。でも、ソラは言います。ましろは諦めず、前だけを見て走り抜き、最高のバトンを渡してくれたのだと。


それぞれの個性が、それぞれの形で力になります。プリキュアは、キャラクターたちが活躍できる「自分の土俵」を見つける物語でもあります。



小越流 総“喝”!

「個性がにじみ出る差別化、土俵をつくる差別化」


これはまさに「差別化しない差別化」です。


ビジネスでも差別化したいなら、ことさらに競合との違いを掘り起こしたり、自分の個性を無理してアピールするのを、いったんやめてみましょう。

差別化のタネは、すでに積み重ねてきた、そしてこれから積み重ねるディテールの中にあります。差別化中毒になりかけたら、社員が当たり前にやっていること、つくり手がこだわってきた仕事の進め方やルール、顧客やユーザーが勝手に楽しんでいることを、見つめ直しましょう。


個人だって同じです。個性を発揮しようと意気込まなくても、考え方のクセや無意識の振る舞い、長年続けてきた習慣の中に、その人ならではの魅力が隠れています。ライバルに差をつけられ悔しい思いをしたら、まず内側を見つめ直してみましょう。


そして、商品の独自性や人の個性が、価値を発揮し、誰かを幸せにできる土俵を見つけることです。なければ、つくればいいのです。そこには、ライバルすらいないかもしれません。誰かに勝つ必要すらなくなります。そこまでやって「差別化」なのです。

bottom of page