「アイドル」は、なぜ世界的なヒット曲になったか? 続いては、音楽ユニットYOASOBIの戦略を紐解いていきます。 「アイドル」は、2023年4月にアニメ「推しの子」のオープニング曲として配信されると、6月には米・ビルボードの国際チャートで1位を獲得する快挙を達成しました。 その戦略は、各所で専門的な分析がなされています。 簡単に言えば、楽曲としての「アイドル」の特徴は、ヒップホップ、ラップ、K-POP、アニソン、メタルなど多彩な曲調と、ダンスと歌唱の程よい難易度。それを活かすために、TikTokでは複数パートをBGMとして公開(通常は1〜2パート)し、クリエイターが様々な部分を切り取って動画に使える設計としています。 結果的に、さまざまな音楽ジャンルのファン、さらに「踊ってみた」コミュニティ、「歌ってみた」コミュニティ、原作ファンなど、複雑で多様な接点があります。 楽曲としても戦略としても、とても現代的なヒット曲なのだろうと感じます。そして、音楽のみならず、次世代のプロダクトのあり方を示唆しています。 振り返れば、昭和の時代は、多くの人が同じ歌番組やドラマに興奮し、大きいな文脈のなかでヒット曲が誕生してきました。しかし、平成も後半に入ると、デバイスやネットの発達とともに価値観は多様化します。メガヒット曲は減った代わりに、音楽は細分化していきました。 そこへ来て、ラップもアニソンもメタルもごっちゃにした「アイドル」。経営やマーケティングに携わる方は、首をかしげたかもしれません。 モノがあふれ、価値観が多様化する社会では、誰にでもウケようとする「幕の内弁当」のようなプロダクトは、結局誰にも刺さらないというのが、半ば常識でしょう。 しかし、「アイドル」は無難な幕の内弁当ではありません。すべてのおかずに特徴があり、トータルとしては圧倒的にオンリーワン。多様性を丸めることなく、全方向に尖りながった「一番星」型プロダクトなのです。 YOASOBI「アイドル」 Official Music Video - YouTube https://www.youtube.com/watch?v=ZRtdQ81jPUQ
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