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万博にみた共異体イノベーションの可能性

  • 執筆者の写真: 小越 建典
    小越 建典
  • 10月8日
  • 読了時間: 3分

共異体イノベーション

半年間にわたる大阪・関西万博も、いよいよ来週閉幕。


開幕前は建設費が倍増したことやパビリオン建設の遅れで「中止でええやん」という声も上がっていました。

が、蓋を開けてみれば9月末には来場者が2,500万人を超えるなど、概ねポジティブな受け取られ方で、終わるのではないでしょうか。


私も仕事とプライベートで2回訪れました。


入れるパビリオンは限られていて、とにかく「人が多い」、そして「暑い」という印象でしたが、世界最大の木造建築という「大屋根リング」は圧巻。

内径約615メートルの輪のなかに、世界の人たちが集まり、文化や技術、何事かのメッセージを表現しているわけです。

国境を超えた人類共同のプロジェクトを目の当たりにする。

数千万の人が体験を共有したのはすごいこと。

そんな思いで大屋根リングを歩きながら、私が考えたのは「共異体」の可能性です。



私たちは、ふだん同一性を基盤とした集合=共同体のなかで生きています。

家族も、友だちグループも、学校も、国も会社も、似たような価値観、目的、ルールを共有する共同体です。

一方で共異体とは、異なる価値観や時間軸の存在が共存する集合です。

異質な存在の中に共通性を見出して、共存する関係性を指します。


どんな組織やプロジェクトも、共同と共異の両面があるのでしょう。


私は万博に「共異体」を見ました。


それぞれの国が異なる文化を持ち、異なる未来像を描き、異なるアプローチで課題に挑む結果として、共通した「何か」が生まれるのだろうと。


それが何かわかりませんが、

「同じであること」より「異なること」を価値とする時代

が来るんじゃないか、と考えています。


一言で言えば「多様性」なのかもしれませんが、

多様な存在を認め合うというより、

異質な存在が交わるから価値が生まれる、

もっと言えば生き残れる、というイメージです。



ビジネスの世界で、この共異体的なアプローチに近い概念が、「インタープレナー」です。

インタープレナーを提唱するSUNDRED社によれば、

インタープレナーとは、企業や団体に所属しながら(していなくてもよい)組織の枠を超え、使えるアセットをフル活用して、社会的な課題解決に取り組む人材のことです。


例えば、「AIスーツケース」という業界横断のプロジェクトがあります(大阪・関西万博でも体験が提供されていたそう)。

視覚障害者の支援を目的とした自律型ナビゲーションロボットを、

「スーツケース型」で実現しようというもの。

日本IBM、オムロン、清水建設、アルプスアルパインの4社が合同で開発しています。


発起人は日本科学未来館の館長で、自身も視覚障害を持つ浅川智恵子さんなのですが、彼女はまさにインタープレナーです。

当事者の視点で、視覚障害に関する新たな課題を設定し、錚々たる企業を動かし、一社では不可能なソリューションに取り組んでいます。


AIスーツケースはどの会社の事業ドメインでもなく、AIや画像認識、触覚センサー、社会インフラと、多様な技術が必要なので一社では実現しません。

このように、異なる存在であること自体が価値になるのが、共異体の真骨頂です。


大屋根リングは、今回の万博のコンセプト「多様でありながら、ひとつ」を体現しています。

巨大な木の屋根から見下ろす光景は、同じ地球に住む人間という意味で共同体とも言えるし、ここで述べたような共異体とも言えます。


私は、ビジネスパーソンのひとりとして、後者の共異体に、これからの時代の価値創造のヒントを見ました。

もしかしたら、みなさんの会社も共異体としてとらえると、がらりと景色が変わるのかもしれません。


目標や価値観を共有し、同質化することも大切ですが、違いから生まれる価値を見直してみてはいかがでしょうか。


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