一本取られた!ハート鷲掴みマーケティング3選
- 小越 建典
- 4月17日
- 読了時間: 3分
更新日:5月1日

顧客や取引先など、ステークホルダーの心をつかむにはどうすれば良いか?
常に頭から離れない! という経営者、セールスパーソンの方は多いはず。
そんなときは、マーケティングの事例を参考にしてください。
思いもよらない方法で成功を手繰り寄せた、
まさに「一本取られた!」と叫びたくなるマーケティングの事例をご紹介します。
「定時退社訓練」ヤッホーブルーイング
働き方改革が始まった頃、にわかに存在感を増したのが「定時退社」というワード。クラフトビールの先駆け「よなよなエール」で知られるヤッホーブルーイングは、時流を受けて
「定時退社協会」
なるものを立ち上げました。
会員になるのは実に簡単。定時退社のために前向きに努力し、帰宅後はビールで乾杯し、その様子を「#定時退社ビール」のハッシュタグ付きでSNSに投稿するだけ。同社は「定時退社訓練」動画も公開し、「素早く正確なメール返信」や「静かな会議脱出法」など、さまざまな"訓練"を通じて早く帰る技術を、ユーモアたっぷりに伝えました。定時退社を促すTシャツやステッカー、ネクタイなどのグッズも開発し、人気を集めました。
この企画が見事なのは、おもしろいだけではなく、働き方改革という世の中ごとと、ビールという自社の商品をを結びつけたところ。一本とられました!
「緊急開催!チンアナゴ顔見せ祭り!」すみだ水族館
水族館の人気者チンアナゴは、本来とても臆病な生き物。私たちに姿を見せてくれるのは、たくさんの来館者と接する環境で、人に慣れているからだそうです。
ところがコロナ禍で水族館が休館すると、人間不在の日々が続き「人間慣れ」の状態から遠ざかってしまい、チンアナゴたちは飼育スタッフが来ても、砂の中に潜って隠れるようになってしまいました。
これではチンアナゴの健康チェックすらできない! そこで生まれたのが「チンアナゴ顔見せ祭り!」です。水槽の前にタブレットを設置して、同じく巣籠もり中の人間とビデオ通話でつなぎました。人間が「見る」だけでなく、自分の顔を「見せる」ことで、チンアナゴを救おうというイベント。
SNSでの告知は瞬く間に拡散し、なんとゴールデンウィークの3日間で200万人が参加する超ビッグイベントに!そして実際に、チンアナゴは少しずつ、砂の中から顔を出しはじめたと言います。
単なる水族館のオンラインツアーでは、ここまでの人は動かなかったはず。水族館と顧客という関係性を、「見せる」という行動によって、同じ課題を解決する「同志」にしたところがうまい。人は自分のためより他者のために動くのかも。一本取られました。
「セブンティーンアイスを高校が続々導入」江崎グリコ
2023年、2024年と、江崎グリコの「セブンティーンアイス」が過去最高の売上を記録しています。
「17歳の若者向け」を謳いながら肝心の高校生との接点が少なかったセブンティーンアイス。スイミングやボーリング場の自販機限定で、小中学生の頃は近い存在でも、高校に上がると生活から離れていくのでしょう。
そこで同社が目をつけたのが、学校での自販機設置。しかし、「置かせてほしい」と高校に営業しても、当初は「教育に必要ない」と門前払いされました。同社は高いハードルをどう超えたか?
マナー委員会の設置や授業での活用など「教育の一環」として提案したのです。生徒自身がルールを作り、運用できる仕組みづくりが学校側からの信頼を勝ち得ました。さらに、売上データを使ったマーケティング授業やSDGs学習の実施など、単なる販売を超えた価値提供に成功しました。
商品に新たな価値と使命を持たせて、学校という「聖域」をクリアした発想に、一本取られた!
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