2023年12月8日、日本パブリックリレーションズ協会「PRアワードグランプリ2023」で、不動産マッチングサービスの「さかさま不動産」が、満場一致でグランプリを受賞しました。事業規模以上に、未来の社会を示唆するビジネスに、注目が集まっています。
ふつうの不動産仲介サービスでは、物件を貸したい家主が、チラシやWebサイトを通して借り手を募集します。
「さかさま不動産」は、まず借り手が希望の物件や、そこで実現したい目標や想いをWebサイト上に掲載。共感した貸したい家主が借り手にアプローチし、合意に至れば契約が成立する、という文字通り「さかさま」の仕組みです。
また、単なるマーケットプレイスではなく、スタッフがニーズに合う家主を探したり、借り主との間を取り持つなど、さまざまなサポートを行います。
2020年にスタートし、2023年12月現在で成約は23件。「海辺に海洋プラごみアートのアトリエをつくりたい」「老若男女が集まるコミュニティスペースをつくりたい」「下町に子どもが集まる駄菓子屋をつくりたい」「森の中で自由にピアノが弾きたい」といった、多様な借り主の想いに対して家主が応えています。
さまざまな視点から学びが多い仕組みですが、ここでは特に家主の目線で、不動産の「コト化」に注目します。家主は家賃収入だけが目的ではなく、社会貢献や夢への挑戦など、借り主がやりたい「コト」に期待します。
それは、貸り手を後押しするだけでなく、借り主を通した家主が自己実現を果たすことでもあります。不動産の価値を根本的に変えるサービスと言えるでしょう。
アワード審査員長の本田哲也氏は、次のようにコメントしています。
「グランプリ受賞プロジェクトのコンセプトでもある『さかさま』は、パブリックリレーションズの本質的な視座のひとつでもあります。世の中に横たわる様々な課題を『さかさま』から捉えることで、新たな景色が広がることがある(後略)」
PRの枠組みを越えて、社会のありようを示す一言ではないでしょうか。
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