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  • 小越 建典

コロナ禍で変わった社長の場合 後編

運命を分けた1日


それからの藤田は、なりふり構わなかった。


社内を大胆に改革し、自ら現場に入り、営業にも奔走した。


テーマは「こなす」から「考える」仕事へのシフト。


DTPだけでなく企画から編集、デザインと、

よりクリエイティブで付加価値の高い領域へ、

本格的な進出を試みたのだ。


覚悟はしていたが、甘くはない。

踏み込んだのは、その才能にクリエイティブの経験を積み重ねた

猛者たちが活躍する世界。


社内に十分なリソースはない。

営業先でバカにされ、突き放されたことも 二度や三度ではない。


ようやく訪れたチャンスは2020年12月。


広報誌の企画制作という理想的なコンペ。

しかも相手は業界トップの上場企業だ。


「何の実績もない私の話を、本当に聞いてもらえるのだろうか?」


プレゼンの刻を待つ会議室で、雑念が振り払えない。

そのたびに、20回以上書き直し、 スタッフとともに仕上げた企画書に目を落とす。


「コン」と1回、乾いたノックが聞こえ、役員が入室してきた。


「やるしかない」



改革の先に見えたこと


その後のことを、藤田はよく覚えていない。


ただ、荒削りな企画書には、


カルチャーを深く表現する特集企画、

読者を引き込む言葉やデザイン、

手に取りやすく読みやすい体裁etc…


先方が求める仕様を越え、 連日「考え抜いた」提案が記されている。


そして2日後、クライアントから受け取ったメールには…


「当社のことを考えてくれているのがよくわかった。

ぜひ御社にお願いしたい」


と、コンペの勝利を報せる文言が記されていた。


まず、トップが本気になり、

言葉だけでなく動き、

幸運にも成果が形になった。


これを足がかりに

CTE社は企画制作の仕事を増やし、

3年かけて事業の一軸となるほど成長させている。


「肝心なのはプロセスだったんだ」


今、藤田は一連の改革を振り返る。


相手の立場で考え、全力を尽くし、

気持ちのよいコミュニケーションをとる。


それはときに、商品力以上の魅力になるし、

気持ちの通ったプロセスがなければ、

実現できない成果もある。


差別化が難しいと思われたDTP・印刷業でも、

付加価値は十分に提供できるということだ。


今、藤田とcte社は、改革の第二フェーズへ、

歩みを進めている。


 

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