社員の夢をサポートしたい!~絵本づくり編
- 小越 建典
- 4月9日
- 読了時間: 4分
「cte.の仕事を通して学んだことを、絵本にしたい」
そんな密かな想いを抱いてきたのは、若き日にマンガ家を志していたベテラン社員の影山伝。
そのことを、たまたま影山と営業に出た際、代表藤田が耳にし、会社としてバックアップすることを申し出たことで、この記事がスタートしたわけです。
人生訓などを形にするのは素晴らしいけれど、それだけでは伝わらない。
人に伝えるには工夫が必要。
cte.の企画力が、その手助けになると考えたのです。
そして藤田の想いは私・小越へと伝わりました。
「面白い」と率直に思いました。
まずは影山の構想を聞き、その後商業出版を想定して、企画をシミュレーションしてみました。
課題:影山が伝えたいこととは?
現在、新規営業のスペシャリストとして活躍している影山ですが、営業をはじめた当時は苦しみました。
元々、影山はマンガ家のアシスタントをつとめるなど、クリエイティブな才能と経験を持っていました。ところが、50代にして突然、営業部門への異動。慣れない飛び込み訪問で、門前払いを食らう日々が続きました。
「通勤途中のトイレで休憩しながらでなくては、会社にたどり着けなかった」と、影山は追い込まれた当時の状況を振り返ります。そして、そのトイレで、影山を変える出来事が起こりました。
経営者か、大企業の幹部か、といった身なりの良い男性が、掃除係の女性に声をかけました。
「いつも、トイレをきれいにしてくれてありがとう」
すると女性も応えます。
「こちらこそ、ありがとうございます。みなさんがトイレを使ってくれるから、仕事をして子どもを養い、大学まで通わせることができました」
ふつうは、通り過ぎてしまうような、何気ない会話かもしれません。しかし、仕事に前向きになれなかった影山にとっては、「雷に打たれた」くらいの強い衝撃でした。
「今は結果を出せなくても、体調を壊しても、生活の糧を得ることができている。難しいとはいえ、企業の看板を背負って、営業することもできる。自分ひとりだったら、10円だって稼げないはずだ」と、現状の捉え方が180度転換したのです。
この体験をきっかけに、影山は営業で成果を出し始め、心身の不調から回復することもできました。そして、自身の環境をポジティブに理解する大切さを説きます。
「大人は、自分の境遇を悲観し、ついグチや不満を漏らしてしまう。しかし、食べ物、乗り物、住むところ、自分の環境を見てほしい。すべてを自分でつくることはできないが、誰かがつくったものの恩恵を受けて、私たちは便利で、快適に暮らしている。素晴らしい人生を生きていることを、子どもたちに気付いてほしい」
これが影山の絵本づくりの目的です。
提案:商業ベースに乗せる手法は?
酸いも甘いも噛み分けた人生の先輩だけあって、含蓄のある体験談でした。同時に、商業出版として考えるなら、読者に提供する価値が必要だと率直に感じました。以下に、私たちなりの企画を提案します。
影山は、会社や経営者が素晴らしい、とヨイショしたかったわけではありません。言いたかったのは、世の中の仕組み、ことに経済の循環の話だと理解できます。みんなが分業して得意なものを作り、それをお金で交換し合う。その営みが高度に行われているからこそ、現代の日本は物質的に豊かな社会ができているのでしょう。
そこで影山に提案です。自身のエピソードをアレンジして、「経済の絵本」を作ったらどうでしょう。
財とサービスを生産、流通、消費する社会の営みを、わかりやすく伝える絵本。ただ、子ども向けの経済の本は類書がたくさんあります。影山には経済の「心」に、光を当ててもらいます。
私たちが、お金を介して交換しているのは、実利だけではありません。影山がトイレで遭遇した男性は、毎日気持ちよく利用できることに、大きな価値を感じていました。掃除係の女性は仕事がもたらすお金が子どもを笑顔にし、自分の心が豊かにすることを知っていました。だから、たまたま居合わせた2人の間で、感謝の交換がなされたのです。
「経済のなかの心」を軸にすることで、人生経験豊富な影山なら、よいエピソードを作れるはず。得意なイラストも交え、20ページ程度の絵本はすぐに構想できるでしょう。
対象は小学校中学年くらいが適していると思います。少年少女たちは、物質や利便性だけではない、本当の経済を学ぶことができるでしょう。保護者にとっても、難しいお金の教育(実は自分もあやふやな)を助けてくれる一冊になります。
影山の言う「素晴らしい人生」を、より多くの人に伝えられるのではないでしょうか。
影山よりひとこと
誰もが見過ごしがちなシンプルな仕事にこそ、豊かさの種があるということを、私はこの会社で学ばせていただきました。長く携わった本の仕事で、お金と人の「愛ある働き方」を自分の絵本を通して、皆様にお伝えることができることを嬉しく思います。
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