「強み探し」はやめませんか?
- 小越 建典

- 9月3日
- 読了時間: 3分

「自分の強み(特徴)ってなんだろう?」
考え続けて、迷子になっている人が多いですね。
「ストレングス・ファインダー」や「MBTI診断」など、古今東西自分探し系のツールが流行るのは、そんな背景があるように思います。
でも、強みや特徴って、そんなに簡単に「見つかる」ものなのでしょうか?
自己中心的な「強み」観
向いていることのなかから、強みや仕事を探そうという考え方が、現代のキャリア論では主流のようです。固定された個性が軸に、世界が動いているという点で、とても自分中心で「静的」な発想です。
しかし、ビジネスの酸いも甘いも噛み分けた読者の皆さんなら、同意いただけると思いますが、「世の中そんなに甘くない!」と私は思います。フリーランスで20年以上やってきましたが、「好き」や「得意」なんて、顧客や市場には何の関係もありません。提供する価値だけで判断されるシビアな世界が、ビジネスです。
そんななかでは、強みは既にあるものを「見つける」のではなく、自分(たち)でコツコツ「創る」もの、常に変化していくものだという見方が、現実に即しているように思います。
「両利き」を個人のキャリアにも
先人たちが研究し、実践してきたビジネスの戦略論は、個人の生き方やキャリアにも、活かせると思います。少なくとも、視点のヒントにはなるはず。
特に、自分探し系のお悩みには、例えば「両利き」の戦略が、とても示唆に富んだ考え方だと思います。「深化(既存事業の改善)」と「探索(新規事業の開拓)」を同時にやって、融合させることで、非連続の成長=イノベーションを導こうという経営戦略です。
例えば、富士フイルムは写真フィルム事業で培った化学技術を「深化」させながら、同時にその技術を全く異なる領域へ「探索」していきました。デジタル化でフィルム需要が激減する中、コラーゲン研究を化粧品「アスタリフト」に活かして大ヒット。さらに医療機器、医薬品へと展開し、フィルムメーカーから総合ヘルスケア企業へと変貌を遂げました。
アマゾンも両利きの優れた事例です。ネット書店として始まりながら、物流への大規模投資で競争優位を築き、そのノウハウを総合ECに展開。同時に、自社のITインフラをAWS(アマゾンウェブサービス)として外販し、今では利益の大部分をこちらで稼いでいます。書店事業を「深化」させつつ、クラウドサービスという全く新しい領域を「探索」した結果、気がつけば世界最大級のクラウド企業になっていた。まさに「強みを創る」実例です。
個人においても、同じ考え方ができます。「好きなこと」や「得意なこと」という資源は、決して固定的なものではありません。絶えず生成して、場に応じて運用する。新しい強みが「動的」にどんどん創造され、足し算や掛け算で、大きくなったり、思いも寄らない方に飛んでいったり。その強みは簡単にはマネできず、オンリーワンの人材ができあがっていきます。
AIに代替されない、という意味でも、「両利き」は個人の重要な生存戦略になるかもしれません。新しいことを経験したり、そのことからアイデアとアイデアをかけ合わせるようなことは、今のところ人間の専売特許と言えるでしょう。
企業も人も、強みは「探す」んじゃなくて「創る」もの。強み探しに悩む同僚や部下のアドバイスに、もちろんあなた自身のキャリアの検討にも、両利きの戦略を活かしてみてはどうでしょうか。
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